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山城知佳子 ベラウの花
■ 本展について
山城知佳子(1976- )は、初期から一貫して、沖縄に暮らすことで意識に上ってくる事象を取り上げ向き合うことから生まれる作品で高く評価されてきました。
写真と映像を制作の軸として活動を続け、近年では政治、社会、文化、自然環境といった様々な面から現在の沖縄に迫り解読しつつ、長期的な視野をもって過去から現在までをつなげた物語性の高い作品を制作しています。
そこでは複雑に絡み合う現実が、その複雑さのままに扱われるが故に豊かな物語へと転換され、現実に過度に縛られない強さとしなやかさを感じさせるものとなっています。
そして新作では静かな眼差しに支えられた、現在と過去を往還するような映像が展開され、解釈は見る者へと委ねられます。私たちは、ここからどのような未来をつくっていけるのでしょうか。
本展は、現代に新たな読みを与える近作および新作を中心に、初期の作品も参照しながら山城の作品世界をご紹介するものです。
■ 本展の見どころ
(1)初期の作品から新作まで約20点を展観
2004年の「オキナワTOURIST」3部作から新作《ベラウの花》(2023年)までの約20点を展観します。山城が何を眼差し、他者の声にどのように応答しながら制作してきたか、その道筋をたどることで山城の現在をより深く知ります。
(2)新しいインスタレーション
2019年に発表した《チンビン・ウェスタン 家族の表象》から新作まで5点の映像作品を、相互の結びつきを重視した構成で展示します。それぞれの作品の音も意図的に混じり合わせ、作品のもつ時間と空間を拡張します。
(3)新作を発表
新作ではパラオ共和国でリサーチを行っています。コロール島、バベルダオブ島、アンガウル島を訪れ、各所にある慰霊碑、戦車や司令部といった戦跡、学校や病院跡地などを調査・取材しました。日本統治時代に教育を受けた高齢者へインタビューも行っています。
■ 主な出品作品
新作《ベラウの花》2023年
ベラウの花
本展にあわせて制作された新作。1人の老人は目の前の 風景をどのように見ているのか。想像する糸口を得る ため、山城は老人が幼少期を過ごしたパラオで撮影を 行いました。カメラを携え老人の記憶を辿ってパラオ の島々を撮影し、自身の新たな眼差しを重ね合わせた 映像は、老人の記憶でもない山城が創りだした新しい記憶のフィクションが立ち上がります。

*「ベラウ」とはパラオ共和国の言語であるパラオ語でパラオのこと
《チンビン・ウェスタン 家族の表象》2019年 シングルチャンネル・ヴィデオ 32分
つらねオペラ
掘削され土が剥き出しになった山、土砂を運ぶト ラックの列などの風景を背景に、老人と孫、両親と 幼い子供の二組の家族の生活が描かれます。両親が それぞれオペラと琉歌の旋律で掛け合いながら歌い 上げるように、二項対立では説明し得ない現状がユーモアを交えた物語で説き起こされます。
《沈む声、紅い息》2010年 シングルチャンネル・ヴィデオ 5分55秒
沈む声、紅い息
初老の女性の聞き取れない呟き、海中に潜るダ イバーや沈むマイクから吐き出される泡。現在 を知るために過去へとたどる山城が、人々の発 する言葉にならない声を可視化します。束ねら れ海底で揺らぐマイクは先人に手向けられた花 束のように、泡はその人から返ってきた返答に も見えます。
■ 出品作家プロフィール
山城知佳子
1976年、沖縄生まれ、在住。映像と写真を中心に作品を制作している。2019年より東京藝術大学先端芸術表現科准教授。 近年の主な展覧会に「Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞記念展」(2022年、東京都現代美術館)、「Chinbin Western Chikako Yamashiro」(2021年、Dundee Contemporary Arts /イギリス)、 「東日本大震災10年 あかし testaments」(2021年、青森県立美術館)、「One Escape at a Time | 11th Seoul Mediacity Biennnale」(2021年、 Seoul Museum of Art (SeMA)/韓国)、 「山城知佳子 リフレーミング」(2021年、東京都写真美術館)などがある。 また「令和3年度(第72回)芸術選奨 美術部門 文部科学大臣新人賞」(2022年)、「第 31 回(2020年度)タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞」(2021年)、 「Tokyo Contemporary Art Award (TCAA) 2020-2022」(2020年)、「第64回オーバーハウゼン国際短編映画祭ゾンタ賞」(2018年)などを受賞。
■ 関連プログラムについて
アーティスト・トーク
日時|3月21日(火・祝)14:00-
講師|山城知佳子(本展出品作家)
場所|丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2Fミュージアムホール
申込|不要
料金|無料
定員|170名

親子でMIMOCAの日
4月22日(土)、23日(日) 10:00-18:00 子どもが芸術に触れる機会を増やすことを目的として2020年度より開始しました。この日は高 校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。
■ 開催概要
展覧会名 | 山城知佳子 ベラウの花
     Chikako Yamashiro: Flowers of Belau
主催 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
協力 | Yumiko Chiba Associates
会場 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3 階展示室 C
会期 | 2023年3月21日(火・祝)~6月4日(日)
開館時間 | 10:00~18:00(入館は 17:30 まで)
休館日 | 月曜日
観覧料 | 一般 950 円(760 円)、大学生 650 円(520 円) 常設展の観覧料含む 高校生以下または 18 歳未満・丸亀市在住の 65 歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者 1 名は無料 ※( )内は前売り及び 20 名以上の団体料金
同時開催
常設展「猪熊弦一郎展 小さな丸」
観覧料 :一般 300 円(240 円)、大学生 200 円(160 円)※企画展の観覧料は別途
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