- 開催趣旨
見る者に鮮烈な印象を与える絵画を多彩なバリエーションで表した中園孔二(1989-2015)。
東京藝術大学卒業後、関東を拠点に制作活動を行ったのち、瀬戸内をのぞむ香川県の土地柄に魅かれ2014 年末に移住しましたが、その翌年に25 歳の若さで生涯の幕を閉じました。
卓越したセンスによって生み出された絵画の数々は、彼個人の内的必然性に基づくものであるとともに、現代社会の過剰なイメージの奔流をも思わせ、私たちの意識の奥底に強く訴えかけます。
ぼくが何か一つのものを見ている時、となりで一緒になって見てくれる誰かが必要なんだ。
中園はノートにこのような言葉を書き留めています。本展は、最後を過ごした香川県において、過去最大規模の個展として約200 点の作品を一堂にご紹介します。
それら無数の絵画とともに、彼が見ていた「一つのもの」が立ち現れるでしょう。
「ソウルメイト」とは
本展タイトルにある「ソウルメイト」とは、中園が日々の思いや考えなどを書き留めていたノートの中にくり返し出てくる言葉であり、彼が必要としていた「となりで一緒になって見てくれる誰か」、すなわち自身の世界観や感性をわかちあう親密なる存在という意味で用いています。本展では、中園が混沌とした現代社会で「ソウルメイト」を希求し、その根源的な孤独を昇華するかのように表した夥しい数の絵画をご紹介します。
- 本展の見どころ
過去最大規模の個展
2006年、高校2年生の頃に美術の道を志すようになった中園は、 25歳という若さで亡くなるまでのわずか約9年の間に膨大な数の絵画作品を描きました。本展は中園の過去最大規模の個展として、未発表作品も多数含む約200点の絵画作品を展示いたします。
最後を過ごした香川での個展
中園は海と山が近くにある香川県の土地柄に魅かれ、2014年末に移住しました。高松市内の住居とアトリエで制作活動を行っていましたが、翌年の2015年7月、瀬戸内海沖で行方不明となり、その才能を惜しまれつつ帰らぬ人となりました。本展は、彼が生前最後の日々を過ごしたゆかりの土地で開催する大規模個展となります。
中園の創作活動の謎に迫る
国内外の展覧会での紹介や、雑誌『芸術新潮』での評伝など、今なお人々の注目を集め続けている中園。一人の作家とは思えないほど、多様な絵画を生み出したその創作活動はいまだ謎に満ちています。本展では彼の絵画を網羅的に紹介するとともに、インタビュー映像やイメージの源泉が伺えるドローイングや蔵書などの資料も併せて紹介し、その創作活動の謎に迫ります。
- 出品作家プロフィール
中園孔二(なかぞのこうじ)
1989年、神奈川県横浜市に生まれる。2012年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2015年、香川県瀬戸内海沖にて消息不明となり他界。主な個展に「中園孔二展」(小山登美夫ギャラリー・東京、2013年)、「中園孔二展 外縁―見てみたかった景色」(横須賀美術館・神奈川、2018年)、主なグループ展に「絵画の在りか」(東京オペラシティ アートギャラリー・東京、2014年)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(埼玉県立近代美術館・埼玉、2016年)、「Japanorama: A new vision on art since 1970」(ポンピドゥー・センター・メス、フランス、2017年)などがある。
本展のアプローチ
本展では、中園の作品や制作活動を以下の
アプローチからご紹介します。
中園の多彩な表現の特質やそれらが生まれる
ところの背景などを読み解きます。
多層の景色
複雑なレイヤー構造をもった大型の絵画作品を展示します。近づいて見たり遠ざかって見たりと、視点を変えることでいくつもの景色が浮かび上がります。
無数の景色
中園はドローイングのように即興的に描いた小型の作品を多く制作しました。画材や描き方を自在に使い分けて描いた、多彩なバリエーションの絵画作品を一堂にご紹介します。
ひとびと
「ひと」のような様々なイメージに焦点を当てます。物思いに耽ったり、寂しげな表情を浮かべたりしている人物や、泣き笑いのような顔、ゲームのキャラクターのようなユーモラスな存在、雲や空に浮かぶ顔などが、作品の中に代わる代わる現れます。
イメージの源泉
中園は夥しい数のドローイングやコマ割り漫画などを、スケッチブックやノートに描き留めていました。これらの資料からは、彼の内側から次々と湧き出てくるかのようなイメージの源泉を伺うことができます。
場所との約束
香川県高松市で暮らしていた頃に描いた作品や、庵治石の産地として知られる庵治半島にあった倉庫を利用したアトリエの様子など、香川での制作活動についてご紹介します。
- 開催概要
展覧会名 |中園孔二 ソウルメイト
主 催 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
助 成 | 芸術文化振興基金、公益財団法人朝日新聞文化財団
協 力 | 小山登美夫ギャラリー
会 場 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3 階展示室C
会 期 | 2023 年6月17日(土)-9月18日(月・祝)
開館時間 | 10:00-18:00(入館は17:30まで)
休 館 日 | 月曜日(ただし7月17日、9月18日は開館)、7月18日(火)
観 覧 料 | 一般:950円(760円)大学生:650円(520円)
高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・
各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1 名は無料
*同時開催常設展「猪熊弦一郎展(仮称)」観覧料を含む
*( )内は前売り及び20名以上の団体料金
同時開催
常設展「猪熊弦一郎展」
観覧料 :一般 300 円(240 円)、大学生 200 円(160 円)
※企画展の観覧料は別途