- 開催趣旨
新型コロナウイルス感染症の始まりから約3 年、私たちは不安を抱えた長い日々が終わることを待ち望みながら、今日、明日、またその次の日と一歩ずつたゆみなく歩みを進めてきました。以前と変わらないような日々を得た人もいれば、まだその渦中にある人と、一様に復調したとは言えないなか、新たな争いや災害は起こり、平穏な日々を得ることの難しさに直面しています。しかしこれまでを振り返ってみたとき、誰もが小さな凸凹を乗り越えた経験をもち、大きな出来事に遭遇したとしても、それぞれの傷を内包しながら時を重ね進んできた希望をみることができます。以前と同じに戻ることができないような経験をし、異なる時間に身を置くことになった後、それでも日々を続けるために取り得る態度にはどういったものがあるでしょうか。社会や自己のあり方の問い直し、他者との関わり、時間の経過など、地道な手段は私たちの推進力になり得ます。本展ではそうした力に目を向け、希望を宿した作品を通して、弱った心身を受容しながら生きる術を考える契機となることを試みます。
- 出品作家プロフィール
須藤玲子(すどうれいこ)
1953年茨城県石岡市生まれ。株式会社 布 代表。東京造形大学名誉教授。
日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品は、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ビクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館など、世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。2022年第11回円空大賞受賞。
主な書籍に『日本の布(1〜4)』(MUJI BOOKS2018,2019)、『NUNO: Visionary Japanese Textiles』(Thames & Hudson 2021)など。
- 見どころ
国際巡回展、日本初公開
須藤の活動は国際的に高く評価され、海外の美術館や博物館でたびたび取り上げられてきました。2019年に香港のミュージアム、CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)が企画、開催し、好評を博した本展は、2021年にJapan House London(イングランド)、Dovecot Studios(スコットランド)、2022年にTextilmuseum St.Gallen(スイス)を巡回し、このたび当館での日本初公開となります。須藤の活動を包括的に紹介する初めての大規模個展です。
まさかの種明かし、メイキング大公開
完成したテキスタイルではなく、テキスタイルが「出来るまで」をメインとして見せる、画期的な展覧会です。アイデアのソースや、アイデア実現までの試行錯誤、実際にテキスタイルが作られる工場の様子まで、通常、作家や企業が秘密にする制作の過程を、惜しげもなく、まるごと公開します。音と映像を交えた作業工程の再現は、それ自体が美しいインスタレーション作品となっており、当館の空間に合わせて展示されます。
猪熊弦一郎とのコラボ企画
猪熊弦一郎作品とコラボレーションした須藤の新作インスタレーションを、当館限定で出品します。美術館の顔とも言えるファサードと、自然光が降り注ぐエントランスの吹き抜け、天井高14メートルを超えるこの二つの大空間に、須藤の大作がいとも「軽やか」に姿を現します。
※須藤と猪熊のコラボ商品も計画中。ミュージアムショップで販売予定です。
テキスタイルが生み出す空間
NUNOの布を数百枚縫い合わせた幅14メートルのパッチワーク幕と、ジャカード織機用の紋紙(パンチカード)を大量につないだ幅11メートルのカーテンを展示、大きくゆるやかに分節された空間をご体感ください。
アイデアが形になるまで
色の参考となる古布の膨大なコレクションと、新しいテキスタイルが完成するまでに必要な様々なアイテム(アイデアソース、スケッチ、素材、道具、資料、試作等)を展示します。完成したテキスタイルに触れることもできます。
7つのミニ工場
須藤の代表的なテキスタイル7点について、制作過程を音や映像を交え抽象的に再現した、ミニ工場のようなインスタレーション作品として展示します。
日本各地の工場
NUNOのテキスタイル製造を手掛ける日本各地の工場を、職人による作業や機械の操作の様子を日常の情景としてとらえた映像で紹介します。
パブリック・ワーク
須藤の主なパブリック・ワークを5点、パネル展示で紹介します。
猪熊弦一郎とのコラボレーション
猪熊弦一郎作品とコラボレーションした新作2点を当館限定で出品、当館の建築空間に合わせて展示します。
- 開催概要
展覧会名 | 須藤玲子:NUNOの布づくり
主 催 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、
独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
企 画 | 高橋瑞木(CHAT館長兼チーフキュレーター)
会場構成 | たしろまさふみ
アーティスティック| 齋藤精一(パノラマティクス主宰)
ディレクション
協 力 | CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile) Hong Kong、Japan House London
会 場 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会 期 | 2023年10月8日(日)-12月10日(日)
開館時間 | 10:00-18:00(入館は17:30まで)
休 館 日 | 月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)
観 覧 料 | 一般:950円(760円)大学生:650円(520円)
高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・
各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催常設展「猪熊弦一郎展 生活に美を」観覧料を含む
*( )内は前売り及び20名以上の団体料金
*11月23日(木・祝)は開館記念日のため観覧無料
同時開催
常設展「猪熊弦一郎展 生活に美を」
観覧料 :一般 300 円(240 円)、大学生 200 円(160 円)
※企画展の観覧料は別途
前売券情報
楽天チケット https://leisure.tstar.jp/event/rlikggm/
【販売場所(丸亀)】
あーとらんどギャラリー:0877-24-0927
オークラホテル丸亀 :0877-23-2222
おみやげ SHOP ミュー :0877-22-2400
- 関連プログラム
オープニング・トーク
概 要:出品作家と企画者によるトーク。須藤とNUNOの活動、本展の成り立ちや見どころなどをお話しします。
日 時:2023年10月8日(日) 14:00-(開場13:30)
講 師:須藤玲子(テキスタイルデザイナー)、高橋瑞木(CHAT館長兼チーフ・キュレーター)
会 場:2階ミュージアムホール
定 員:170名(申込不要)
聴講料:無料
ワークショップ
概 要:出品作家の須藤玲子さんによるワークショップ。ギャラリートークの後、NUNOの布を使ってオリジナルのスカーフや風呂敷を作ります。
日 時:023年10月21日(土)、10月22日(日) 各日11:00〜15:00 *お昼休憩を含む
場 所:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2階造形スタジオ
講 師:須藤玲子
対 象:どなたでも
定 員:各回30名
参加料:一般2,000円、大学生500円、高校生以下または18歳未満は無料 ※展覧会観覧料を含む
申込締切:10月11日(水)まで
<お願い>
・お昼休憩を含みます。昼食をご持参いただくか、美術館周辺でお取りください。
・高校生、大学生の方は、学生証のご提示をお願いいたします。
親子でMIMOCAの日
概 要:高校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。
日 時:2023年11月4日(土)、5日(日) 各日10:00-18:00
キュレーターズ・トーク
概 要:本展担当キュレーター(古野華奈子)が展示室にて見どころをお話しします。
日 時:2023年11月5日(日)、12月3日(日) 各日14:00-
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)
申込不要、当日1階受付前にお集まりください。